対話型ロボットの中の人&監視係として働いた話

日記
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はじめに

昨今、ソフトバンクが開発したペッパー君などの、人間と会話できるロボットが話題です。また、AI技術の著しい発展によって、対ロボットでも、まるで人間と喋っているかのように自然と会話ができるようになっています。

しかし、私が今回体験したのは、ロボットを遠隔で操作し、しゃべりかけてくるお客さん(被験者)と遠隔で会話するというものでした。結構面白い体験だったので、忘れないうちに感想を書いておこうと思います。

……まあ、実際私も被験者だったわけですが。

仕事内容

仕事内容としては、遠隔ロボットを決められたルート上に動かしながら、その途中で話しかけてくる客と会話するという内容です。場所はとある商業施設で、郊外にあるのでそこまでお客さんが多いわけではありませんでした。

なお、周りはロボットの全面に取り付けられているカメラで確認するほか、高性能レーダーを搭載していて、まるで魚群探知機のように状況を確認できました。

なお、ルートは一直線上にあり、そこを永遠と往復します。ロボットのカメラから送られてくる景色は画質も微妙で単調なので、なかなか根のいる作業でした。しかも結構揺れるので、酔いそうでした……。

しかし、会話をするうえで制約があります。それは、ルート上でしゃべりかけてくるお客さんは適当にあしらわなければならないということです。つまり、一直線のルートの頂点の2か所でしか客と会話することは許されないということです。ただ、無視するということではなく、「会話できない」という旨を発声し、客に立ち去るように要求します。

分かりにくいかもしれないので、一応図を添付しておきます。

実験の目的

内容からある程度推察できそうですが、この実験の目的は、つまり、

  • オペレーター側はルート上で話しかけてくる人に非情な対応をしなければならないが、それをどう対応するか。
  • 客側は冷たい対応をされることもあるが、それに対して何を感じ、どう対応するか。
  • 運よく会話できた客は、何を会話し、どのような反応を示すか。

という点にあります。最初に「私が被験者だった」と書いたのは、1つめの項目に当てはまるからですね。

子供たちの反応

実験を開始すると、実際に話しかけてくるのは子供のほうが圧倒的に多かったです。実験の主催者側も、それをよくわかっており、わざわざ子供向けイベントがある商業施設にロケーションを設定していました。

始めて数分は、無邪気に話しかけてくる子供たちを無視することができませんでした。これは実験の趣旨に反するので、申し訳ないことをしたと思います。

自己紹介をする子供

会話した子供たちで印象的だったのは、きちんと自分から自己紹介ができる子が多かった点です。これは特に幼稚園~小学校低学年あたりの子供に顕著でした。名前、年齢、住んでいるところを自分から言う子が多く、私(ロボット)の自己紹介が後手に回ることが多かったです。そうでなくとも、私側から自己紹介すれば、挨拶を返してくれる子供が圧倒的でした。

しかし、小学生中学年以上ぐらいの年齢になると、自己紹介をする子供はほとんどいなくなりました。おそらく、知らない人に自分を簡単に明かさないという知識があり、この場合ロボットは「知らない人」判定になっていたのでしょうが、それよりも若い子供たちだと、ロボットは「知らない人」にはならなかったのかもしれない、というのが私の勝手な考察です。

ただ、「自己紹介をできる」という教育プログラムがきちんと機能している証拠であり、個人的には問題ないのかなと思います。ロボットと本当の人間とでは、彼ら幼稚園児でも対応にまた差があるのだと思います。

道を譲らない子供

この実験の肝である、ルート上で話しかけて冷たく対応された子供たちのリアクションは、様々でした。

最も多かったのは、私の「道を譲ってほしい」との発言に従う子供でした。しかし、譲った後でも後ろからついていったり、目で追ったりする子供は多かったです。

実験的においしいのは、道を譲らず、ロボットに(わざと)意地悪をする子供です。彼らのいたずらの仕方は様々ですが、単にのかないだけでなく、のくふりをしてのかない、触る、極めつけは持っているカバンをロボットにかけるなど、様々でした。「わざと」と書いたのは、幼稚園前~年少辺りの子供は、単純に言葉と状況を上手く理解できていない可能性があるということです。この場合、被験対象ではありません。

彼らの行動原理は、別の人が彼らにインタビューする担当だったので私の知るところではありませんが、どうも親が近くにいなかったり、注意しない親の子供だったりすることが多かったです。前者の場合、後から親が来るとやめ、後者は飽きたら去っていきました(このとき、親はずっとスマホを見たりママ友と会話していました)。また、子供たちの友達集団であるだけ邪魔をすることが多かったように思われます。

つまり、子供は親の監視下にない場合、あるいは、親から怒られないことを知っている場合、善悪の区別がついているのにも拘わらず、余計なことをすることが多いという考察が得られます。あるいは、気が大きくなってしまうような、いわゆる集団心理が働いているのは、大人とあまり変わらないのかもしれません。

まとめ

非常に面白い体験ができました。私は教育学部でも心理学部でも何でもないので、考察はただ思ったことを書いただけですが、子供の対応に心を温められたり、逆にイライラしたりしながら仕事をできました。

私自身、最初は自分も実験対象になっているとは知りませんでした。ヒヤヒヤしましたが、なんとか役目をこなせていたようでよかったです。私の実験データが役に立っていれば嬉しいというお話でした。

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