最強レベルのコスパと性能
今回は、SONY製のコンデンサーマイク、「SONY C-80」のレビュー記事です。
コンデンサーマイクながらコンパクトで、比較的安価なモデルとなっています。しかし、金属製で高級感や安定感は半端なく、音質の面からも同価格帯のコンデンサーマイクから頭一つ出ており、間違いなくお勧めできる製品だと思います。
また、古いダイナミックマイクからの買い替えなので、実際使ってての音質がどんなもんなのかも、詳しく書いていこうと思います。
SONY C-80の特徴
そもそも、SONY C-80は、アマチュア向けのマイクとして開発されたという経緯があります。多くのマイクはスタジオ向けに設計されていることもあり、収録時にプロレベルの環境があったほうが望ましいですが、C-80は必ずしも気にしなくて大丈夫なんです。
SONY C-100との違い
しかし、使っている材質やマイクの振動版に妥協はなく、C-80の上位モデルである「SONY C-100」をベースとしたマイクカプセルを使用し、防鳴筐(きょう)体構造を採用しています。
防鳴筐(きょう)体構造のおかげで、低ノイズ化を実現していて、収録環境が安定しない宅録には大きなアドバンテージとなっています。
ボーカルから楽器、ナレーションまでのオールラウンダー
およそ宅録で必要とされるような、全てのシチュエーションに対応できます。
公式HPの商品紹介によると、
- 張りのある豊かな中域特性
- 芯の通った存在感のあるボーカル収音
- 他の楽器音とミックスした時にもボーカルが目立つ
- 抜け感のある高域は
- 繊細な息づかいなど細かなニュアンスまで再現
- 体的に素直でナチュラルなサウンドは複雑な後処理を必要としない
- マイクに近づいて発声した時のブーミーな低域を抑える
- ノイズを抑えた、ナチュラルでクリアなボイス収音
ほかにも、楽器収録に対しては、
- ギターの弦の擦れる音やボディの響きなど楽器の特徴をリアルに再現
- しっかりとのびたローエンドの力強さ
- ナチュラルで塊感のあるサウンドにより
などの特徴が説明されています。
引用元:SONYストア リンク 体裁の都合上一部改変 2024年9月26日最終閲覧
というのが謳い文句ではあるのですが、使ってみて実際のところどうなのかはこの後に解説していきます。半年以上使ってからのレビューなので、長期使用レビューです。
ダイナミックマイクとの比較
SHURE 588SDもいいダイナミックマイク
以前から私が所有しているSHURE 588SD(SM58ではない)は大分古いダイナミックマイクです。古いですが、ちゃんと動作するところは流石だと思います。
音質に特段問題があるわけではありませんでしたが、感度が低く、I/O側のゲインを上げ、かなり近づかないと収録できないという問題がありました。これではノイズが増えます。ちなみに、588SDはメキシコ製です。スイッチ付きなのが地味に便利。
音質としては、ダイナミックらしい、ローが強めに出るマイクなんですが、音の解像感がイマイチです。これが買い換えた大きな原因ですね。クリアで解像感のある音が欲しかったのがC-80を買った理由。
ボーカルとアコギの録音に主に使っていました。ボーカルは先ほど書いたようにローが強めに出る感じ(近接効果も原因かも)。アコギは粒感があって全体感がない、煌びやかさはイマイチ、といった印象です。
落としたことも何回かありましたが、とても頑丈です。壊れません。今後もサブとして使っていきます。
SONY C-80 詳細レビュー
SONY C-80の外観
表側のSONYのロゴはレーザー彫刻してあります。超かっこいいです。筐体は全体が金属製で、シャーペン程度の長さですがずっしり重く、高級感があります。
光の当たり方によって、中身の振動版がきれいに見えます。もちろん、MADE IN JAPANです。
シャーペン程度の長さと書いたように、本当にコンパクトです。太さもG-SHOCKの腕時計よりも細く、取り回しがしやすいマイクだと思います。
PADとハイパス(ローカット)
裏面にはPADとハイパスのスイッチが付いています。ちょっとスイッチが硬い。
PADが付いているので、エレキギターやエレキベースのアンプ録りにも使うことができると思います。割と感度高めなんで、PADはあったほうがいいですね。
ほかにも、ハイパスをONにすることで、環境音収録にも使えそうです。ポッドキャスト等の、多少ローが犠牲になっても低ノイズを優先したいときも便利だと思います。
ちなみに裏面のロゴは彫刻ではなく印刷でした……。どうでもいい部分かもだけどちょっと残念。
ノイズ耐性
まず、指向性が鋭い印象を受けました。 訂正 半年以上使いましたが、普通の指向性です。
しかし、私がそう感じたのは、エアコンやPCのファンなどのノイズにはめっぽう強いからだと思います。
コンデンサーマイクって、割と色々な所からの音を拾ってしまう印象でしたが、録音環境を気にせずに録れます。ここは謳い文句通り、さすがの低ノイズ性だと思います。
SONY C-80の音質
実際に録音してみた
環境はこんな感じ。
- インターフェースはRoland Rubix 22
- つまみは1時ぐらい
- パソコンとエアコン(うるさい)
- ポップガード使用、マイクと口の距離20cmぐらい
録音に当たって、プリ・ポストともにエフェクトは一切かけていません。
ボーカル・声
歌声と、ナレーション(カス演技)を録音してみました。MP3に落としています。用途は歌だけでないということを分かってもらえれば嬉しいです。
歌い手さんだけでなく、配信者さんや声優さんにも、自信を持っておすすめできるマイクです。
低い歌声
高い歌声
ナレーション・声
楽器
アンプ直録りエレキ
アンプが全然いい物私のヘッタクソなギターのせいで、マイクの性能を活かしきれていないので、参考程度に。
ストラトのリア、クリーン、アンプのEQはすべて12時です。PADをONにして、マイクはアンプのスピーカーにほぼビタ付けで録っています。所詮家庭用のアンプなんで、ご容赦を。
アコギ
コードストローク。サウンドホールの真ん中を狙って録りましたが、結構適当なので、2つの音色割と違います。
単音。音が小さかったのでDAWでGAINを上げています。ノイズ等どうでしょうか?
その他
付属品
切り抜きが雑いですがショックマウントも付属しています。逆さ吊りにしてもしっかりホールドする安定性です。プラ製です。
ケーブルは安定のカナレ社製で、プラグはノイトリックのものを使っています。白いケーブルがオシャレです。ポップガードは中華の安物。素人レベルでは何が違うのか全く分かりませんが。
総評
音質は大変優れています。温かみのある中域と伸びのある高域に加え、音の解像感も非常に高いと感じました。ボーカルでいうと、マイクと口との間の空気感が伝わるような印象です。
とても素直な音を返してくるので、逆に私みたいな下手くそが歌うと、余計に下手さが目立ってしまうのがデメリットでしょうか。とはいうものの、男声の美味しい所は奇麗に拾っていると思います。
楽器録音も、エレキだとアンプの出音を忠実に拾っているように感じます。コンデンサーマイクといえばボーカルや生楽器の収録をイメージしがちですが、この用途にも全然使えると思いました。一度いいアンプ(JC120とか)を録音してみたいものです。
アコギも、マイキングの位置をちゃんとすればきれいな音が録れているのではないでしょうか。サウンドホールから響く音をそのまま伝えるような、煌びやかな音だと思います。生楽器のレンジの広さを取りこぼしていないように感じます。ただ、ピッキングノイズは仕方ないですね……。
ノイズもかなり少な目で、ゲインを上げない限り気になりません。また、感度は十分なので、ゲインを上げすぎる必要はありません。ノイズ回りは謳い文句どおりの設計になっていると思います。
経験上、マスタリングを掛けても、ノイズが目立つということはないので、C-80のノイズ耐性は相当高いと思います。
まとめ
金属製の筐体、コンパクトさ、音の良さ、正直期待以上の良いマイクでした。値段の高い買い物をしてモチベーションを上げるもよし、ステップアップのためにもお勧めできます。
歌ってみたがやりたい人、配信者がやりたい人、音声作品を作りたい人、宅録がやりたい人、誰にでも使いやすい製品だと思います。ノイズも非常に乗りにくいので、宅録でも取り扱いが楽だと思います。
コンデンサーマイク選びで迷っている人は、ぜひC-80を選択肢に入れてみてください。