屈指の名曲《Moon Halo》の解釈はいかにして可能か【崩壊3rd】

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私が文をどう捉えたか解りやすくするために、
カンマ(,)やピリオド(.)を振り、文をつなげた場合があります。
また、()内も私による追加です。

この記事では、基本的に連ごとで、
・Original
・翻訳
・解説
の順で話を進めます。


Some deserts on this planet were oceans once.
Somewhere shrouded by the night, the sun will shine.
Sometimes I see a dying bird fall to the ground,
but it used to fly so high.

この惑星の砂漠は、かつて海だった。
夜に覆われたどこかを、太陽は照らした。
私は時々、地に落ちて死にゆく鳥を見る。
でもその鳥は、かつて空高く飛んでいた。

第1連です。
ここで、この曲の歌詞のキーワードとなるであろう「鳥」が登場します。
どこか遠くから世界を見つめたような雰囲気が、読み手をこの歌詞の世界に誘います。


I thought I were no more than a bystander till I felt a touch so real.
I will no longer be a transient when I see smiles with tears.
If I have never known the sore of farewell and pain of sacrifices,
what else should I engrave on my mind?

私が現実を感じるまで、
自分は第三者以外の何物でもないと思っていた。
涙と共にある笑顔を見るとき、
私はもはやそこに留まることはない。
私がさよならの悲しみと痛みの尊さを知らなければ、
一体何に私は意識を刻めばいいのだろう?

第2連は、「私」という主語が登場します。
この詩は一体誰の自分語りなのでしょうか。


Frozen into icy rocks,
that’s how it starts crumbled like the sands of time,
that’s how it ends.
Every page of tragedy is thrown away (and) burned out in the flame.

炎の中で燃え尽きた悲劇の全ページは投げられ、冷たい岩の中に凍る。
砂時計のように崩れ始めるのは、
その終わりを意味する。

第3連です。
“it”が何を指すのかが解釈が分かれるポイントだと思いますが、
私はこの連で全体的に倒置が起こっていると考え、悲劇の全ページが燃え尽き、投げられた後に、凍り付き、終わりに向かうという時系列で解釈しました。

この連は、他の連に比べてかなり抽象的な表現が使われていると思います。
悲劇が何を意味するのか、終わりとは何なのかを考えてみるのが、ポイントだと思います。


A shoulder for the past
let out the cries imprisoned for so long.
A pair of wings for me at this moment
to soar above this world
turn into a shooting star that briefly shines but warms up every heart.
May all the beauty be blessed
May all the beauty be blessed

背負った過去は、長く囚われた叫びを解放した。
私の比翼の羽根はこの瞬間、
世界の上でそれを悲しむためにあり、短く光る流れ星となる。
でもそれ(流れ星)はすべての心を暖めるものだ。
美しきものすべてに祝福あれ
美しきものすべてに祝福あれ

文の構造が煩雑ですが、きちんと追えば修飾関係が明らかになります。
特に3行目以降の文ですが、
(S) A pair of wings to soar above this world for me /
(V)turn into /
(C)a shooting star that briefly shines but warms up every heart /
at this moment.
分かりやすく書き換えると、このようになると思います。

まず、”a shoulder for the past”と、”a pair of wings”
のふたつの概念の対句的表現が目に付きます。

letは活用形が全て同じです。
これに関しては、それぞれの主語に対応する、”the past”と”at this moment”も対句的に取ることができ、”let”は過去形であるとも考えられるのではないでしょうか。
そうすると、比翼の羽根が流れ星になったに至る経緯を強調しているようにも読めます。

また、この連で初めて登場した「羽根」は、第一連に登場した「鳥」に関連するものです。
これをきっかけに「羽根」は、後の連にも登場します。
羽根は、”me”に関係あるようです。この”me”は、今までの”I”と同一人物と解釈します。
この辺りに歌詞を考察するヒントが散りばめられていると思います。


I will never go.
There’s a way back home (that is) brighter than tomorrow and yesterday.
May all the beauty be blessed

私が決して行かない家に帰る道は、
明日と昨日のほうが明るい。
美しきものすべてに祝福あれ

間奏部分、第5連です。
ここにも”I”が登場します。
“go”の目的地の解釈に苦労しましたが、ここは単純に文の繋がりで捉えることにしました。
道があるのに家に帰らないということは、どういうことでしょうか。


Wave good-bye to the past when hope and faith have grown so strong and (those) sound.
Unfold this pair of wings for me again to soar above this world
turned into a moon that always tells the warmth and brightness of the sun.
May all the beauty be blessed
May all the beauty be blessed

希望と信仰が強くなって響いたとき、
過去にさよならと手を振る。
比翼の羽根は、世界の上で悲しむためにあり、再び私に、
それは常に太陽の暖かさと明るさを語る月となった。
美しきものすべてに祝福あれ
美しきものすべてに祝福あれ

第6連です。
ここも2~3行目の文がややこしいので書き換えると、
(S) Unfold this pair of wings to soar above this world for me again
(V) turned into
(C)a moon that always tells the warmth and brightness of the sun.
となります。どこかで見たことがある構図ですね。

この部分、”turned”が過去形になっています。
ここでの過去を語るような表現は、第4連と合わせて、第1連と対応するような気がします。
つまり、第4連で流れ星となった比翼の羽根は、再び”me”に現れ、月となったと読めます。
第4連では流れ星になった羽根は、どうして今度は月になったのでしょうか。

他にも、第1連と対応する単語が多数登場します。
第6連曰く、月は「太陽の暖かさと明るさを語るもの」とあります。
そして、第1連では、太陽について語られています。誰が語っているのでしょうか?
その景色は、その人にとってどう映ったのでしょうか?


私の解釈では、連ごとに時系列を整理するとわかりやすいと思います。
つまり、「2→3→4→5→6→1」と読んでみてはどうでしょうか。

この詩は一貫して”I”の一連の物語で、一人称と客観的な視点を巧妙に織り交ぜてあると感じました。
他の方の考察では、「月」や「太陽」などが誰かのメタファーではないかとありましたが、十分に検討できそうです。上に述べた「客観的」ということからも、関連があるのかもしれません。
言いたいことをとても簡単にまとめると、
“I”の願いや歴史が、最終的に月になるということに止揚されるということですが、この人物が誰かということに議論は尽きないのかもしれません。それが名曲である所以のひとつでしょう。


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